改めて憲法を考える(成澤孝人=信州大学教授/中川律=埼玉大学准教授/福嶋敏明=神戸学院大学準教授)

第1回:憲法が「硬性」であること
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2013年(平成25年)7月30日号〔第1934号〕
内容:
はじめに
1 ミャンマーの硬性憲法——その意味するもの
2 日本での憲法の軟性化の主張——九六条が意味すること
おわりに

 

第2回:改憲論議はどうあるべきか?
執筆者:中川 律(宮崎大学講師=憲法)
掲載号:2013年(平成25年)8月30日号〔第1936号〕
内容:
はじめに
1 自民党の改憲論議
2 改憲論議と憲法論議
3 キャスリーン・サリヴァンによる「憲法修正病」批判
4 憲法改正において考慮すべきコスト
⑴ 安定性
⑵ 法の支配
⑶ 一貫性
⑷ 一般性
⑸ 裁判所の役割
おわりに

 

第3回:憲法(constitution)と立憲主義(constitutionalism)についての覚書
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2013年(平成25年)9月30日号〔第1938号〕
内容:
はじめに
1 憲法の特質
・憲法とは、そのメンバー全員(国民)に、生命と自由と幸福追求の機会を最大限に保障することを目的とする国家の基本計画書
・18世紀のフランスとアメリカで起きた人類史上の偉大な発明
2 憲法政治と通常政治
・社会変革のプロジェクトを実行するのは、法律による通常政治
3 日本の憲法政治と通常政治
・自民党創設時の改憲論は、大日本帝国憲法の憲法観
・憲法のスタンダードから後退する内容の改正案を与党が国民に示している
・この国の政治的リーダーに、憲法の本来の意味が、依然として根づいていないのではないか?
4 憲法改正において考慮すべきコスト
おわりに

 

第4回:内閣法制局長官人事と立憲主義
執筆者:中川 律(宮崎大学講師=憲法)
掲載号:2013年(平成25年)10月30日号〔第1940号〕
内容:
はじめに
・憲法解釈変更のために内閣法制局長官の人事行う手法の是非について考える
1 政府の憲法解釈と内閣法制局
・そもそも、なぜ政府は憲法解釈の際に内閣法制局に助言を求め、それに従ってきたのか
・政府の憲法解釈の一貫性・予測可能性・信頼性を保ち、政権交代ごとに恣意的に憲法解釈がなされるのを防ぐ意味
2 内閣法制局の信頼性
・実際に内閣法制局は、その信頼性の担保にかなりの注意を払ってきた
3 政府の憲法解釈の変更
・内閣法制局が信頼を得ていることで、政府は、自らの憲法解釈の信頼性を担保でき、ひいては立憲主義へのコミットを標榜できている
・では法制局はどのような場合に従来の憲法解釈に関する自らの見解を変更すべきか
おわりに
・今回のような異例人事で憲法解釈変更をすれば、法制局は存在意義を失い、時の政府(今回の場合は安倍政権)はその存立の正統性を自ら浸食することになる
・しかし、国民がそれを許し、事態が進行するということは何を意味するか

 

第5回:権力分立と内閣の憲法解釈
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2013年(平成25年)11月30日号〔第1942号〕
内容:
はじめに
・現政権の手法が「禁じ手」たる理由を考える
1 権力分立と内閣
・権力分立を支える思想と歴史—議院内閣制と大統領制
・アメリカで発展した違憲立法審査権—成文憲法が国家権力をどうやって拘束するか、という新しい問題があらわれる
2 憲法裁判の法創造力
・婚外子差別規定への違憲判断と、学校における人種別学を定める州法を違憲としたアメリカ最高裁の判断から考える
・本来、恐ろしい権力である違憲審査権は、憲法原理と法の専門家としての良心に拘束されてはじめて、その権限を適切に行使しうる
3 内閣の憲法解釈権
・憲法解釈変更が実質的な立法行為であることからすれば、内閣による九条解釈の変更は、執行権が、自ら立法を行うことにほかならない
おわりに
・執行権たる内閣による憲法の解釈変更がなぜできるのか、深刻な疑問がある

 

第6回:国家の秘密と国民の知る権利
執筆者:中川 律(宮崎大学講師=憲法)
掲載号:2013年(平成25年)12月30日号〔第1944号〕
内容:
はじめに
・「国家の秘密の範囲が必要以上に拡大していないかを、国民の知る権利に依拠して常に警戒してゆくことが、民主主義や立憲主義を掲げる国家の適正な機能にとって不可欠」なのはなぜか
1 国民の知る権利の国政監視機能
2 国民に「知られること」の統制力
3 国家の秘密の危険性
4 国民に「知られないこと」への欲望
・大日本帝国憲法下の日本の経験
・軍機保護法/軍用資源秘密保護法/新聞紙法/内務大臣の事実上の記事差止命令制度
おわりに
・国家の秘密の拡大の芽には国民の知る権利を対抗させて、詳細に批判することの重要性は昔も今もこれからも変わらない

 

第7回:日本国憲法の転換点?=特定秘密保護法制定から考える=
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2014年(平成26年)1月30日号〔第1946号〕
内容:
はじめに
・秘密保護法をめぐる攻防を憲法政治と通常政治という視角から論じる
1 憲法政治と通常政治の衝突
・憲法の意味をめぐる政治が憲法政治、法律の制定・執行をめぐる政治が通常政治
・特定秘密保護法は、日本版NSC法とセットで集団的自衛権の行使のために機能する、実質的な九条改正のための法律
2 九〇年代改革と首相中心モデル
・党首選で選ばれ、二つの選挙を勝ち抜いた安倍政権は、小泉以前の自民党政権とは全く異なり、党所属の国会議員および官僚に対して絶大な力をもつ
3 議院内閣制の二つの型
・「首相中心」の議院内閣制と「内閣中心」の議院内閣制
おわりに

 


第8回:公権力による監視と憲法

執筆者:福嶋敏明(神戸学院大学准教授=憲法)
掲載号:2014年(平成26年)2月28日号〔第1948号〕
内容:
はじめに
・公権力による監視が個人の自由や社会のあり方にもたらす危険性を、憲法の視点から考える
1 「監視社会」の現状
2 監視とプライヴァシー
・公権力による監視の違憲性・違法性を争った自衛隊の情報保全隊をめぐる裁判
・仙台地裁判決は、自己の個人情報をコントロールする権利を「法的に保護に値する利益として確立」していると認めた
3 監視の危険性
・ニール・リチャーズの議論を参考に
・知的プライヴァシーを損なう危険性と監視者と被監視者との間のパワー・バランスを不均衡にする危険性
4 監視者に対する監視
・判所と国会を通じての統制に関する考察
おわりに
・「監視社会」化の只中で私たちが最も警戒しなければならないこととは?

 

第9回:憲法の実質的改正の手法について
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2014年(平成26年)3月30日号〔第1950号〕
内容:
はじめに
1 憲法解釈変更権の所在
2 安保法制懇の正当性
・安保法制懇の法的根拠は、2014年2月7日の内閣総理大臣決裁、つまり私的諮問機関にすぎない
・正規の審議会は、国家行政組織法8条、内閣府設置法第37条・第54条により、法律または政令を根拠にして設置される
3 専門的知識と政治との境界
おわりに
・憲法を変えたいのであれば、実質的に適正な手続を踏まなければならない

 

第10回:公私の区別と「公務員」の自由=「内閣総理大臣」の靖国神社参拝から考える=
執筆者:福嶋敏明(神戸学院大学准教授=憲法)
掲載号:2014年(平成26年)4月30日号〔第1952号〕
内容:
はじめに
1 公私の区別と「公務員」の自由
・近代的な公務員制度は公私の区別を本質とする
・公権力の担い手である公務員は、憲法99条により憲法尊重擁護義務が課されるが、私人の立場では憲法尊重擁護義務が解かれ、憲法が保障する権利を享有する主体となる
2 「内閣総理大臣」の私的参拝?
・安倍首相は、「私人の立場」を主張するに足る努力を示したと言えるか?
3 「公務員」の自由をめぐる現況
・一般職の公務員に対しては公務員たる地位を明かすことなく政治活動を行った者が依然として刑事罰に問われうる規制が残る現実
おわりに
・社会的影響力が強い立場にある者による公私の区別の安易な援用は、禁物

 

第11回:憲法9条解釈改憲批判を考える=集団的自衛権「限定」容認案の問題点=
執筆者:中川 律(埼玉大学准教授=憲法)
掲載号:2014年(平成26年)5月30日号〔第1954号〕
内容:
はじめに
1 解釈改憲とは
2 従来の解釈改憲批判の意義
3 政府の九条解釈と集団的自衛権
4 現在における解釈改憲批判の意味
5 集団的自衛権「限定」容認案の問題点
おわりに

 

第12回:安保法制懇報告書の憲法9条解釈
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2014年(平成26年)6月30日号〔第1956号〕
内容:
はじめに
1 憲法九条の規範内容
2 報告書と首相見解のずれ?
3 必要最小限度の集団的自衛権?
おわりに

 

第13回:公権力による批判の自由?=漫画「美味しんぼ」をめぐる騒動から考える=
執筆者:福嶋敏明(神戸学院大学準教授=憲法)
掲載号:2014年(平成26年)7月30日号〔第1958号〕
内容:
はじめに
・「美味しんぼ」をめぐる騒動で、政府関係者から相次いだ批判や抗議
・はたして公権力が特定の漫画の内容に対する批判を繰り返すことは許されるのか、を憲法の視点から考える
1 表現の自由と萎縮効果
・表現の自由の意義・特性からすれば、問題のある表現も、まずは言論市場の働きによる淘汰にゆだねられるべき
2 「政府言論」の問題
・圧倒的優位性をもつ政府言論の介入で国民の意見が一定方向に誘導されるおそれ
・個々の政府言論が適切であるかどうかは具体的な文脈に即して評価されるべき
3 福島第一原発事故と政府言論
おわりに

 

第14回:教育委員会制度と教育を受ける権利=改正地方教育行政法を考える=
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2014年(平成26年)8月30日号〔第1960号〕
内容:
はじめに
1 地方教育行政法の改正内容
2 教育委員会制度の意義
3 新しい教育委員会制度の運用のあり方
おわりに

 

第15回:憲法9条の安全保障
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2014年(平成26年)9月30日号〔第1962号〕
内容:
はじめに
・憲法9条に関する従来の政府解釈を変更した7月1日の閣議決定について考える
1 違憲の閣議決定?
・集団的自衛権を認める一方、その発動を極めて限定。この限定をめぐる見解について
2 7.1閣議決定と憲法9条
・より根本的な問題は、閣議決定を支える基本的考え方が、憲法9条と相いれないということ
・軍事力に関して普通の立憲主義国と同じ思想に立つには、日本は憲法上の限界がある。
3 平和主義と民主主義
・民主主義の眼目は、権力を真の意味でみんなのために使うところにある
・他国の軍事力に期待して「国民の命と平和な暮らし」を守ろうという思考は、倒錯している
・憲法9条の制約の下で、集団的自衛権の行使を認めるためには憲法改正が必要。その選択を閣議決定でおこなうことは許されない
おわりに

 

第16回:憲法尊重擁護義務と立憲主義
執筆者:福嶋敏明(神戸学院大学准教授=憲法)
掲載号:2014年(平成26年)10月30日号〔第1964号〕
内容:
はじめに
1 憲法尊重擁護義務と立憲主義
2 尊重擁護すべき「この憲法」とは?
3 憲法尊重擁護義務を支えるもの
おわりに

 

第17回:大学の自治=改正学校教育法・国立大学法人法を考える=
執筆者:中川 律(埼玉大学准教授=憲法)
掲載号:2014年(平成26年)11月30日号〔第1966号〕
内容:
はじめに
・大学の自治の意義を再確認したうえで、改正法を受けて今後の大学運営のあり方について考える
1 改正内容と問題点
2 学問の自由
3 大学の内部における自治
4 大学の外部に対する自治
おわりに——今後の大学運営のあり方

 

第18回:2014年衆議院解散の「異常」について
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2014年(平成26年)12月30日号〔第1968号〕
内容:
はじめに
1 衆議院解散の主体と解散権の限界
2 解散権に対する制約の根拠
3 解散権の濫用と自律解散
おわりに

 

第19回:2014年衆議院総選挙の「過剰」と「過少」について
執筆者:福嶋敏明(神戸学院大学准教授=憲法)
掲載号:2015年(平成27年)1月30日号〔第1970号〕
内容:
はじめに
…自公「圧勝」という表現は適切か?
…選挙に見られた「過剰」と「過少」の要素に着目しながら考える
1 議席数の「過剰」
…選挙制度の問題性
2 投票率の「過少」
…投票率の低さの原因と解散総選挙の作法
おわりに
…今回の選挙で憲法に関する企てについて国民の「信」が得られたとは言い難い

 

第20回:わいせつ表現規制――ろくでなし子さんの事件を契機に考える
執筆者:中川 律(埼玉大学准教授=憲法)
掲載号:2015年(平成27年)2月28日号〔第1972号〕
内容:
はじめに
1 わいせつ表現とは
2 おかしな規制実態
3 曖昧な定義の問題性
4 わいせつ表現規制に根拠はあるか
おわりに

 

第21回:自己責任論と国家の役割
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2015年(平成27年)3月30日号〔第1974号〕
内容:
はじめに
…テロや事件に巻き込まれた場合、国家は彼らを救うべきなのか? ISILの人質事件から考える。
1 個人の自由と国家の関係
…ホッブズとロックの思想から自己責任論を検討する
2 自己責任論の背景と憲法上の権利
…国民の多くが公共的議論から逃避すれば、憲法上の権利が失われる。その原因の一端にはリベラリズムの自由観があると考える。
3 共和主義と自己責任論
…フィリップ・ペティットの「共和主義」。多数決重視のリベラリズムとの違いは、異論に対する説明責任を果たすことで多数決を洗練させる点
…彼らにふりかかったことは、私たちにも降りかかる共和主義の観点からは、自己責任論の間違いは明白
おわりに
…共和主義に基き、国民を代表する国会で、人質事件を検証されなければならない。

 

第22回:同性婚と憲法=渋谷区パートナーシップ証明制度を契機に考える
執筆者:福嶋敏明(神戸学院大学准教授=憲法)
掲載号:2015年(平成27年)3月30日号〔第1974号〕
内容:
はじめに
…同性カップルを結婚に準じる関係と認める証明を行うための全国初の条例が渋谷区で成立
…条例をめぐり、安倍首相が国会答弁で否定的見解
…日本国憲法では同性婚は認められないのか?
1 同性婚と憲法二四条
…二四条の制定趣旨は「家」制度の解体
…同性婚を認めることが「個人の尊厳と両性の本質的平等」に反するとは考え難い
2 同性婚と憲法一三条・一四条
…幸福追求権と法の下の平等と、同性婚の適合性を考える
3 異性婚主義の正当性?
…婚姻は生殖と結びつけなければならないか?
4 諸外国の状況
おわりに
…伝統的な「家族」像の維持のために「個人」が抑圧されてしまう状況こそ、憲法二四条が否定しようとしたものではなかったのか

 

第23回:教科書検定制度と政府見解
執筆者:中川 律(埼玉大学准教授=憲法)
掲載号:2015年(平成27年)5月30日号〔第1978号〕
内容:
はじめに
…竹島と尖閣諸島を「日本の固有の領土」とするなどの政府見解が記述された
…政府見解を教科書に反映させる仕組みは教育内容への介入の限界を踏み越えるものか?
1 教科書検定制度の基本的な仕組み
…文部科学大臣は教科書検定を行う権限をもつ。
…検定基準の実質的機能とは
2 政府見解を反映させる仕組み
…2014年の中学校社会科の学習指導要領解説の改訂。学習指導要領の内容を過不足なく拾うよう教科書は求められるため、法的強制力はないが実質的に大きな影響をもたらす
…政府見解や最高裁判例とは異なる記述がある場合に検定意見を通じて加筆を求める、という条件の追加
3 国による教育内容への介入の限界
…学テ判決。大綱的基準にとどまるべき、基準の決定権限
4 教科書検定制度を通じた教育内容への介入の限界
…教科書検定は憲法二六条と教育基本法旧一〇条に違反しないとする第一次家永判決。「学問的、教育的な専門技術的判断」であることが前提
5 政府見解反映の仕組みの問題点
…国の欲する詳細な教育内容を教科書に反映させる仕組み。「大綱的基準」との適合性を審査するとは言えない
おわりに
…そもそも戦前の国定制の否定のうえに、教育を受ける権利を充足するように、民間の教科書執筆者の創意工夫に期待するものであった。原点に立ち返るべき。

 

第24回:新安保法制と集団的自衛権
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2015年(平成27年)6月30日号〔第1980号〕
内容:
はじめに
…現在提出されている安保法制の分かりにくさを解消するため、四半世紀の九条をめぐる動きを振り返る
1 現状(二〇一五年五月)の安保法制
…一九九一年の湾岸戦争をきっかけにできたPKO協力法、
…一九九四年の北朝鮮核疑惑による九六年の日米安保共同宣言と周辺事態法、そして有事法制
2 新安保法制の内容
…存立危機事態に武力の行使が可能に
…周辺事態法のバージョンアップ。重要影響事態法案で、戦闘補助の物品も現場に提供可能に
…国際平和支援法案で、国連の要請で武力行使に対して後方支援を行う
…PKO法改正で、要請がなくても国連の支持があれば活動可能に
3 新安保法制の問題点
…重要影響事態が存立事態へと「切れ目なく」発展する危険性と、恐ろしい法的帰結
おわりに
…現在の、国民の熟議なしで憲法を改正しようとする政治を見逃して、憲法を手放すのか

 

第25回:放送に対する政治介入と放送の自由
執筆者:福嶋敏明(神戸学院大学准教授=憲法)
掲載号:2015年(平成27年)7月30日号〔第1982号〕
内容:
はじめに
…政権与党の放送に対する政治圧力・介入事例が続く
…与党が放送法の定める番組編集準則を根拠に、放送番組について事情聴取や文書要請を行うことは許されるか
1 番組編集準則と放送の自由
…番組編集準則を違憲とする学説と、合憲とする多くの学説
…合憲説と、その説得力への近年の疑問
2 番組編集準則の法的性格
…「倫理的規定」とする解釈。1993年の「椿発言事件」以降の旧郵政省見解の変更
3 放送法の構造
…憲法21条を根拠にした「倫理的規定」解釈と放送法
…事情聴取や文書要請を与党がおこなう効果
4 放送事業者の自己規律と市民
…「公権力」に対する監視・批判機能をもつ権力(メディア)。メディアに対する公権力の規制・介入の最大の危険性と、私たち市民の責任
おわりに
…放送を含めたメディアのあり方、メディアに対する政権与党の姿勢を注視するべき社会の責任は今まで以上に大きい

 

第26回:なぜ、強行採決はいけないのか?――2015年夏新安保法案の国会審議の問題点
執筆者:中川律(埼玉大学准教授=憲法)
掲載号:2015年(平成27年)8月30日号〔第1984号〕
内容:
はじめに
…なぜ強行裁決がいけないのか、新安保法案の強行採決に向けられた批判を具体的に考察する
1 強行採決批判への素朴な疑問
…強行裁決といっても、憲法に定められたルールに則ったもの。
…問題提起として説得力ある訴えとなる場面とは?
2 選挙の限界と国会外の民意
…選挙の限界と、日々変化する民意。国会外の民意に敏感に反応することで、活動の正統性を補完する
3 小選挙区比例代表並立制の問題性
…現行選挙制度では、特に民意反映が必要。構造的に民意との乖離を生み出す
4 民意とは何か?――「公共圏」での「熟議」
…国会はどのような民意に反応すべきか、どのような民意が正当性を持つか。
…「公共圏」での「熟議」を経た民意
5 強行採決の問題点
おわりに
…新安保法制への反対という民意を真摯に受け止め、国政に反映する責務を負う国会

 

第27回:違憲の法案と参議院の責任
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2015年(平成27年)9月30日号〔第1986号〕
内容:
はじめに
…参議院審議中の新安保法案と参議院の役割について考える。
1 憲法と統治機構
…人権保障と権力分立によって成り立つ「憲法」
…リベラリズムと共和主義の違い
…共和主義が単純多数決主義としての民主主義と異なるのは、「多数決者による専制」を腐敗と考える視点
2 権力分立と議院内閣制
…議院内閣制と大統領制の分岐を見る。その歴史と仕組み
3 参議院と議院内閣制
…第二院についての考察。イギリス貴族院、ドイツの連邦参議院、フランスの元老院にみる共通点
…「ねじれ国会」問題。そして「全国民の代表」としての参議院について
おわりに
…参議院、その「再考の府」としての責任

 

第28回:市民と憲法保障―安保関連法をめぐる市民運動と抵抗権思想
執筆者:福嶋敏明:神戸学院大学准教授=憲法
掲載号:2015年(平成27年)11月30日号〔第1990号〕
内容:
はじめに
…安保関連法に反対する市民運動の高まりを踏まえ、市民と憲法保障との関係について考えてみる
1 立憲主義と憲法保障
…国家機関による憲法の侵害を事前に防止し、または事後に匡正するための仕組み:憲法保障制度
…憲法に定められる憲法保障制度と、超憲法的な根拠によって認められる抵抗権
2 市民と憲法保障
…主要な憲法保障制度がもつパラドクス―「保障の『敵』となりうる国家権力が、同時に保障の『味方』=担い手として構想されている」
…安全保障に関わる領域においてこそ、市民が憲法保障の主体として現れることが要請されると考えられる
3 市民による憲法保障と抵抗権思想
…市民はどんな手法を用いて憲法保障の担い手としての役割を担えるか。
おわりに
…安保関連法に対する反対運動は、市民が「抵抗権思想」に基づき行った憲法保障の試みの一環であったと位置付けることができるのではないか

 

第29回:学校での政治教育の仕組みは、どうあるべきか?——18歳選挙権をめぐる1つの論点
執筆者:中川律(埼玉大学准教授=憲法)
掲載号:2016年(平成28年)1月30日号〔第1994号〕
内容:
はじめに
1 政治教育の意義
2 教育の政治的中立性
3 教師の教育の自由
おわりに

 

第30回:共和主義のすすめ——立憲主義の回復のための覚書
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2016年(平成28年)3月30日号〔第1998号〕
内容:
はじめに
1 安倍政権下における憲法状況
2 共和主義と自律
3 改革と安倍政権
4 立憲主義の回復へ
おわりに

 

第31回:学問の自由のために——ある市立短期大学をめぐる事例から考える
執筆者:成澤孝人(信州大学教授)/中川律(埼玉大学准教授)/福嶋敏明(神戸学院大学準教授)
掲載号:2016年(平成28年)5月30日号〔第2002号〕
内容:
はじめに
1 学問の自由の意義
2 教育基本法上の問題
3 教育公務員特例法上の問題
おわりに

 

第32回:高校生の政治的活動——文科省の新通知の問題点
執筆者:中川律(埼玉大学准教授=憲法)
掲載号:2016年(平成28年)8月15日号〔第2007号〕
内容:
はじめに
1 旧通知の見直し
2 新通知の意味
3 「政治的活動」
4 学校による制約の根拠
5 校長の包括的権能
おわりに

 

第33回:国政選挙における「争点」
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2016年(平成28年)10月15日号〔第2011号〕
内容:
はじめに
1 国政選挙と国民主権
2 国民主権と「争点」
3 イギリスにおける国会の復権
おわりに

 

第34回:選挙資金規制と「腐敗」——アメリカにおける選挙資金規制をめぐる議論
執筆者:福嶋敏明(神戸学院大学準教授=憲法)
掲載号:2017年(平成29年)1月15日号〔第2017号〕
内容:
はじめに
1 選挙資金規制と「腐敗」
2 シティズンズ・ユナイテッド判決
3 選挙資金規制と自己統治
おわりに

第35回:安保法制違憲訴訟について考える
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2017年(平成29年)5月15日号〔第2025号〕
内容:
はじめに
1 日本国憲法における司法権と違憲立法審査権
2 EU離脱と国会主権
3 新安保法制違憲訴訟への示唆
おわりに

第36回:大統領の就任宣誓と司法―入国禁止令をめぐる訴訟との関連で―
執筆者:福嶋敏明(神戸学院大学準教授=憲法)
掲載号:2017年(平成29年)7月15日号〔第2029号〕
内容:
はじめに
1 入国禁止令と就任宣誓
2 入国禁止令と司法の「反乱」?
おわりに

第37回:教育勅語のどこが問題なのか?―道徳教育のあり方を考えるために―
執筆者:中川 律(埼玉大学准教授=憲法)
掲載号:2017年(平成29年)10月15日号〔第2035号〕
内容:
はじめに
1 教育勅語の内容
2 教育勅語体制
3 顕教と密教
4 国家の中立性
おわりに

第38回:安定した立憲民主政に生きる権利について
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2017年(平成29年)12月15日号〔第2039号〕
内容:
はじめに
1 安定した立憲民主政に生きる権利利益とは何か
2 権利利益の内容
3 立憲民主政のプロセスと違憲審査権
終わりに

第39回:大統領による批判の自由?-NFL選手らによる国歌斉唱時の「膝つき」行為をめぐって-

執筆者:福嶋敏明(神戸学院大学準教授=憲法)
掲載号:2018年(平成30年)2月15日号〔第2043号〕
内容:
はじめに
1 言論の自由としての「膝つき」
2 政府言論としての「批判」
3 第一修正違反としての「脅し」
4 自己統治の理念としての「大統領」
おわりに

第40回:差別問題の構造-ヘイトスピーチをめぐる議論を手がかりに-

執筆者:中川 律(埼玉大学准教授=憲法)
掲載号:2018年(平成30年)5月15日号〔第2049号〕
内容:
はじめに
1 差別問題への眼差し
2 表現の自由の限界
3 個人の尊厳
4 礼節の強制
5 表層と深層
おわりに

第41回:天皇の代替わりと日本国憲法
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2018年(平成30年)7月15日号〔第2053号〕
内容:
はじめに
1 憲法七一条と天皇~イギリス憲法との比較から
⑴ イギリスにおける立憲君主制の運用
⑵ 日本における議院内閣制と天皇
2 象徴天皇制と生前退位
⑴ 天皇の行為の性質と象徴機能
⑵ 生前退位と象徴天皇制
⑶ 生前退位における代替わりの儀式
おわりに

第42回:日本型立憲主義と憲法九条改正問題
執筆者:成澤孝人(信州大学教授=憲法)
掲載号:2018年(平成30年)9月15日号〔第2057号〕
内容:
1 日本型立憲主義とその構造
⑴ 立憲主義と政権交代
⑵ 日本型立憲主義の構造
2 日本型立憲主義の危機
⑴ 九四年政治改革と小泉内閣
⑵ 安倍内閣と憲法改正
おわりに

第43回:トランプ大統領による入隊禁止令と司法
執筆者:福嶋敏明(神戸学院大学準教授=憲法)
掲載号:2018年(平成30年)12月15日号〔第2063号〕
内容:
はじめに
1 入隊禁止令と司法
2 入隊禁止令と司法の「敬譲」
3 入隊禁止令と「敵意」
おわりに