法とは何か(森嶌昭夫:名古屋大学名誉教授=民法・環境法)

第1回 フィリピン人一家強制退去命令事件を通して
掲載号:時の法令 2009年(平成21年)4月30日号〔第1832号〕
内容:
I 「法とは何か」を始めるにあたって
 1 市民の目で法を見る
 2 法学者にとっての「法とは何か」
 3 国家が支配し、国家法が強制力を持つことの正統性
II 法は生木を裂く杓子定規か
 1 フィリピン人一家に対する強制退去命令事件
 2 事件の経緯
 3 人道的判断を求めるマスコミの報道
 4 「法の公平か人権か」
III ルール(行動基準)としての法と人道的配慮
 1 ルールとしての法
 2 法的処分と社会の反応
 3 法務大臣の対応
 4 日本の社会における法

第2回 さまざまな意味を持つ「法」という言葉
掲載号:時の法令 2009年(平成21年)5月30日号〔第1834号〕
内容:
I 日常使われる「法」という言葉
○辞典に見る「法」の3つの意味
 1 「国家権力による強制力を伴うもの」「法律」を意味する場合
 2 「社会秩序維持のための規範」「決まり」「仏の教え」など、法的規範より広い一般的な行為規範を意味する場合
  3 正義や善という、規範が指し示す行為の内容に対する積極的な価値評価も意味する場合
II 国家法と常識?再び強制退去事件を取り上げる
 ○フィリピン人一家強制退去事件のマスコミ報道は「法」という言葉をどの意味で使ったか
III なぜ法律の規定と常識がずれるのか
○歴史文化の異なる欧米法を輸入したものの、わが国に根付いてきた社会規範や社会意識が受け入れなかった、あるいは受け入れるのに時間がかかっていること
○急速な社会構造・社会意識の変化に対応できなくなったこと
IV 国家法の形成と社会規範・慣習法
○もともと密接に関連して使用されてきた「法」の3つの意味
○ヨーロッパにおける国家法規範の形成をみる?エーアリッヒ『権利能力論』とロスコー・パウンド『法の任務』をもとに
V 要約

第3回 日本人は訴訟きらい?—隣人訴訟
掲載号: 時の法令 2009年(平成21年)6月30日号〔第1836号〕
I ヨーロッパ法制のわが国への移入
II 市民生活と国家法との乖離
III 変わりゆく社会の隣人訴訟
 ○いわゆる隣人訴訟?津地方裁判所判決への反響
 ○原被告双方が訴訟を取り下げた経緯
IV 訴訟ぎらいは変わったか
 ○1)国家法、2)ルールや規範意識、3)慣習ルールという区分で隣人訴訟を読み解く
 ○25年後の現在の国民の意識は?

第4回 日本人の法意識(1)
掲載号:2009(平成21)年7月30日号〔第1838号〕
内容:
I 戦後(1960年代まで)の社会の変動と日本人の法意識
  1967年に出版された川島武宜『日本人の法意識』より
II 権利・法律・所有権・契約に関する社会規範(法意識)
III 日本文化会議の法意識調査
IV 日本人の法意識は前近代的か?
  以上を踏まえ、筆者はどう考えるか?

第5回 日本人の法意識(2)
掲載号:時の法令 2009年(平成21年)8月30日号〔第1840号〕
内容:
I 日本人の法意識は前近代的か?
 ・権利、義務、法律、所有権、契約についての日本文化会議の1971年の世論調査
 ・日本人が権利義務を持ち出さない理由は、日本社会の歴史的文化的特性から権利義務とは別の秩序ルールがあるというところから説明する考え方について
II 日本人の法意識は変わったか?
 ・グローバリゼイション後の日本人の意識
 ・名古屋大学の調査結果?法律、遵法精神、契約書について
 ・北海道大学の調査?権利、契約について
III 「法律」は好まないが、「契約」は自ら守る
 ・日本人の法意識に関する調査結果は、2000年代に入ってからと30年前とでほとんど変わっておらず、今後も様々な事例で繰り返し出てくるであろう

第6回 裁判活動によって法を変える—公害訴訟
掲載号:時の法令 2009年(平成21年)9月30日号〔第1842号〕
内容:
I 「青空を返せ」??四日市公害訴訟
II 四日市コンビナートの成立と公害の発生
III 四日市判決のインパクト

第7回 裁判所が法を変える——公害判決
掲載号:時の法令 2009年(平成21年)10月30日号〔第1844号〕
内容:
I 社会の変化に対し対応する裁判所
II 損害賠償請求
III 差止請求

第8回 裁判所は法をつくることができるか?環境差止訴訟と裁判所の限界
掲載号:時の法令 2009年(平成21年)11月30日号〔第1846号〕
内容:
I 公害問題から環境問題へ
II 差止めの法的根拠としての「環境権」
III 大阪国際空港最高裁判決
IV 行政訴訟の限界

第9回 法律の「解釈」と法の創造(1)
掲載号:2010年(平成22年)1月30日号〔第1850号〕
内容:
I 裁判所はどのようにして法を変えるのか
II 民法七〇九条の「過失」をめぐる解釈
III 利息制限超過利息の返還請求をめぐる利息制限法一条の「解釈」

第10回 法律の「解釈」と法の創造(2)
掲載号:2010年(平成22年)2月28日号〔第1852号〕
内容:
I 裁判所・行政機関による法の解釈
II 記号としての法
III  実践的解釈としての法の解釈

第11回 民法改正(1)
掲載号:2010年(平成22年)3月30日号〔第1854号〕
内容:
I 法改正の動き
II 民法と社会の乖離
III  裁判所による民法規範の補充
IV  裁判所による民法規範の修正
V 民法判例法の集積と民法関連立法

第12回 民法改正(2)
掲載号:2010年(平成22年)4月30日号〔第1856号〕
内容:
I 不法行為分野における判例法の展開
II 不法行為法改正へ向けて
III  契約自由の原則を修正する特別法

第13回 民法改正(3)
掲載号:2010年(平成22年)6月30日号〔第1860号〕
内容:
I ようやく始まった民法改正作業
II 今回の民法改正は債権法改正
III  今回の債権法改正の問題点

第14回 死亡損害(生命の価格)の男女格差
掲載号:2010年(平成22年)7月30日号〔第1862号〕
内容:
I 顔の傷跡に対する労災補償の男女格差
II 人身損害に対する賠償額の算定
III 逸失利益の格差を是正する試み

第15回 臓器移植??人の身体(臓器)はだれのものか
掲載号:2010年(平成22年)8月30日号〔第1864号〕
内容:
I 改正臓器移植法の施行
II 臓器移植と脳死問題
III 人の身体(そして、その一部)は、モノか

第16回 インフォームド・コンセント ?患者の自己決定権と医の倫理
掲載号:2010年(平成22年)10月30日号〔第1868号〕
内容:
I 患者の自己決定と医師の説明
II 患者の自己決定権を基礎に展開するIC法理
III 医の倫理としてのIC
IV わが国におけるICの議論
V 元気の出るIC

第17回 プライバシーの権利?自分の個人情報をコントロールする権利
掲載号:2010年(平成22年)11月30日号〔第1870号〕
内容:
I プライバシー??「一人にしておかれる権利」
II 情報のプライバシー
III OECDの八原則
IV 個人情報はどこまでも個人のものなのか

第18回 『知る権利』——市民が直接国政に参加する手だて
掲載号:2011年(平成23年)4月30日号〔第1880号〕
内容:
I 尖閣諸島沖の中国漁船の巡視船衝突事件
II 『知る権利』という新しい権利
III 情報公開法

第19回 原子力事故の被害者救済?——損害賠償と補償
掲載号:2011年(平成23年)5月30日号〔第1882号〕
内容:
I 東日本大震災による巨大な被害の発生
II 東電福島第一原子力発電所の事故被害の状況
 ⑴ 被害者救済をめぐる政府の対応
 ⑵ 原子力損害賠償法における無過失責任

第20回 原子力事故の被害者救済?——損害賠償と補償
掲載号:掲載号:2011年(平成23年)6月30日号〔第1884号〕
内容:
1 損害賠償制度は万能ではない
2 過失責任の意味
3 損害はどこまで賠償されるのか——相当因果関係
4 危険責任
5 国の損失補償

第21回 原子力事故の被害者救済?——損害賠償と補償
掲載号:2011年(平成23年)8月30日号〔第1888号〕
内容:
1 福島第一原発事故と原賠法
2 原子力の平和利用と原子力損害賠償法
3 わが国の原子力損害賠償法
4 原子力災害補償専門部会の答申
5 原子力事故の被害者救済のあり方

第22回 政治主導と法の支配1
掲載号:2012年(平成24年)1月30日号〔第1898号〕
内容:
1 政治主導と民主主義
2 『政治主導』とは何か
3 国家戦略室と行政刷新会議(事業仕分け)
4 政治は官僚を主導できているか

第23回 政治主導と法の支配?
掲載号:2012年(平成24年)11月30日号〔第1918号〕
内容:
1 休筆のお詫びと本稿の構想
2 「法の支配」と「法治主義」
3 政治主導も法の支配に服しなければならない

第24回 法の支配とデュー・プロセス(適正手続)1
掲載号:2013年(平成25年)1月30日号〔第1922号〕
内容:
1 政治的な権限行使と法の支配
 ・田中真紀子文部科学大臣の大学設置不認可と、前原国土交通大臣の八ッ場ダム建設事業中止の問題から考える
2 法の支配の多様な意味内容
 ・国家作用に対する法的統制において、誰が、誰に、何を請求できるのか、さまざま
 ・個人生活から国家の介入をできるだけ排除しようとした20世紀と国家の介入をより多く認めざるをえない21世紀の福祉国家とでは「法の支配」における法の統制の考え方は、これまでと異なってくるのではないか

第25回 法の支配とデュー・プロセス(適正手続)2
掲載号:2013年(平成25年)2月28日号〔第1924号〕
内容:
1 行政作用に対するコントロールと市民の権利利益の保護
2 行政作用に対する事後的コントロール(救済)