住民票のいまむかしを見る

住民票に対しての私の知識といえば、引っ越すときに必ず転出届と転入届を出さなくてはならない、そしてその住民票を元に住民税や選挙の投票の知らせが届くという程度の知識でした。

つまり、説明してと言われるとその程度のことしか言えないもので、案外身近に感じるものであっても本質をよく知らないものです。(引越しには縁があるので、届出を出すのは慣れたものです)

さて、そもそも住民票とはどうやってつくられたのかと探ってみると、「住民登録法」(昭和26年法律第218号)に代わり制定された「住民基本台帳法」(昭和42年法律第81号)によって生まれたものです。その「住民登録法」が実施された当時の記事には、こう記されています。

引用:昭和27年7月3日号 第64号「住民登録の実施—7月1日から5日までに一斉に届出—」

「住民登録法は、市町村でその住民を登録することによつて、住民の居住関係を公証し、その日常生活の利便を図るとともに、常時人口の状況を明らかにし、各種行政事務の適正で簡易な処理に資することを目的としてつくられたものである」

「市町村には、選挙人名簿の調整とか予防接種の実施とか就学児童とか住民税の賦課徴収などのように、住民の居住関係をしっかり把握してかからなければならない行政事務が非常に沢山あるが、住民登録法がうまく実施されると、こういう各個の行政ごとに別別に住民の実態調査を行う必要がなくなり、すべて住民票の登録をもとにして簡単にそれぞれの台帳をつくることができるようになる。また、住民の側でも、身分関係の証明書を必要とするような場合に、今までのようにいちいち本籍地の役場に戸籍の謄本や抄本を申請しなくても、手軽に現住所の役場で、住民票の謄抄本を作つてもらえば事が済むようになる。」

「このように、住民登録法が施行されると、役場の事務上も、われわれの日常生活にいろいろと便利な事が生ずるようになるわけである」

などと住民票ができる様子をかいま見ると、今では当たり前のように存在する住民票が、行政の事務を簡易にし、われわれの生活の便利さにつながっていくと考えられていたかを感じます。もっとも、行政ごとに住民の実態調査が行われる必要、なんて書いてあることに驚きを禁じえませんが…

普通は、一般市民にとって単なる手続きであるのに、自分の住む地域にとって、そして住む住民自身にとって、大きな役割を担っているものなのだと、過去の法律を見て改めて発見する気持ちです。

しかし、住民票のはじめが、まさか、たったの5日間で行われたことだとは、現在の選挙の投票期間より短いではないかと、不思議に思うばかりです。(Y)

昭和27年7月3日号 第64号
「住民登録の実施—七月一日から五日までに一斉に届出—」
住民登録法施行法(四・二八公布、法律第一〇六号)
住民登録法施行令(四・二八公布、政令第一二三号)
住民登録法の施行期日を定める制令(四・二八公布、法律第一二二号)