『権利のための闘争』の思い出

「弁護始末記」は、時の法令の連載の中でも最も愛された連載でした。

弁護士が、実際にあった事案について、「どう考え、どう対応したか」の顛末を語るもので、物語性があることからとても読みやすく、読み終わると自然に法律知識が身についている、というのが人気の秘密でした。

 

中でもファンがついていたのが、民事事件に深い造詣をもつ高橋保治弁護士の原稿でした。

彼がイェーリングの『権利のための闘争』の中の一節、

 

「権利のための闘争は権利者の自分自身に対する義務である」

 

を引用し、訴訟についての考えを述べた「仮処分制度利用のすすめ―訴訟を早期に解決するために」(1983年(昭和58年)5月13日号〔第1178号〕)をご覧下さい(PDFはこちら)。

 

弁護士に「守秘義務」があるのは今も昔もかわりません。

しかし、人名や地名を変えることで、また依頼人に了解を得て各弁護士が、執筆していました。

弁護士の「原稿に書いたら訴えられる」とか、依頼人の「情報を拡散されたくない」という心配は、それほどせずに済んだ時代の連載であったといえるかも知れません。

(C.S)